お金の知識中級編27 iDeCoと企業型DC、名前は似ているけど何が違う?

老後資金づくりの制度としてよく聞く iDeCo(個人型確定拠出年金)企業型DC(企業型確定拠出年金)

どちらも「確定拠出年金」という同じ仕組みを使っていますが、 使い方・自由度・節税効果・向いている人は意外と違います。

この記事では中級者向けに、 iDeCoと企業型DCの違い・併用の考え方・よくある勘違いを 表で分かりやすく整理します。


iDeCoと企業型DCは「誰が用意するか」が違う

まずは一番大きな違いから見てみましょう。

項目iDeCo企業型DC
用意する人個人会社
掛金の出どころ自分の給料会社(+本人上乗せの場合あり)
加入の自由原則だれでも可会社に制度がある人のみ
運用の責任自分自分

どちらも運用は自己責任ですが、 「入口」が個人か会社か、という点が大きな違いです。


節税メリットはどちらも強力(仕組みは同じ)

iDeCoも企業型DCも、税制メリットは共通しています。

タイミング節税内容
積立時掛金が全額所得控除(iDeCo)
or 給与扱いにならない(企業型DC)
運用中運用益が非課税
受取時退職所得控除 or 公的年金等控除

この「3段階の節税」が、確定拠出年金の最大の魅力です。


掛金の上限は「企業型DCの有無」で変わる

中級者が特に注意すべきなのが、 iDeCoの掛金上限は、企業型DCの有無で変わる点です。

区分iDeCo上限(月)企業型DC
企業型DCなしの会社員23,000円なし
企業型DCあり(マッチング拠出なし)20,000円会社拠出あり
企業型DCあり(マッチング拠出あり)上限調整あり本人も上乗せ可能

企業型DCに加入している場合、 「知らずにiDeCoを満額入れられない」 というケースがよくあります。


自由度はiDeCo、手数料は企業型DCが有利なことも

iDeCoの特徴

  • 金融機関・商品を自分で選べる
  • 低コストインデックスが豊富
  • 口座管理手数料は自己負担

企業型DCの特徴

  • 商品ラインナップは会社次第
  • 手数料を会社が負担してくれるケースが多い
  • 選択肢が少なく、コストが高い商品も混在

「選択肢の自由」ならiDeCo、 「コスト負担の軽さ」なら企業型DC という違いがあります。


iDeCoと企業型DCは“併用”できる?

結論から言うと、条件付きで併用可能です。

ケース併用ポイント
企業型DCなしiDeCoのみ上限23,000円
企業型DCあり(規約OK)併用可能合算上限に注意
企業型DCあり(規約NG)不可会社規約を確認

まずは自分の会社の制度を確認することが最優先です。


中級者におすすめの考え方

  • ① 企業型DCがある → まずは企業型DCを最大限活用
  • ② 商品が微妙 → iDeCoで補完
  • ③ 老後以外の資金も必要 → NISAと併用

老後資金は、 企業型DC/iDeCo(守り)+ NISA(柔軟) の組み合わせが王道です。


よくある勘違いと注意点

  • 60歳まで引き出せない → 流動性は低い
  • 元本保証=安全ではない(インフレに弱い)
  • 会社が用意=安心とは限らない
  • 制度を理解せず放置が一番のリスク

「何に投資しているか」を定期的に確認することが大切です。


まとめ:iDeCoと企業型DCは“老後資金の土台”

  • iDeCo=個人で使う年金制度
  • 企業型DC=会社が用意する年金制度
  • 税制メリットはどちらも非常に大きい
  • 掛金上限と会社規約に注意
  • NISAと組み合わせるとバランスが良い

iDeCoと企業型DCは、 「地味だけど、将来効いてくる制度」です。

若いうちから使いこなせば、 老後の不安はかなり小さくなります。


iDeCoも企業型DCも、将来の自分を助けてくれる制度。 まずは“自分が何に入っているか”を知るところから始めましょう。