お金の知識中級編26 「貯蓄にもなって安心」と言われる外貨建て保険、その本当の姿

「円より金利が高いから増えやすい」 「保険+運用で一石二鳥」 ――そんな説明を受けて、外貨建て保険を検討したことはありませんか?

外貨建て保険は、一見すると魅力的ですが、 仕組みを理解せずに契約すると“想定外の損”が出やすい商品でもあります。

この記事では中級者向けに、 外貨建て保険の仕組み/見えにくいコスト/代表的なリスク/向き不向きを 表を使って分かりやすく解説します。


外貨建て保険とは「外貨で運用する保険」

外貨建て保険は、保険料の支払い・運用・受け取りを 米ドルや豪ドルなどの外貨で行う保険です。

項目内容
通貨米ドル・豪ドルなど
目的保障+運用(貯蓄性)
利回り円建てより高く見えやすい
代表例外貨建て終身保険/養老保険

ポイントは、「保険」でありながら為替の影響を強く受けることです。


よくある“メリット説明”を冷静に見直す

販売時によく聞くメリットは、次の3つです。

  • ① 円より金利が高いから増えやすい
  • ② 保険なので安心
  • ③ 将来の受取額が大きい

確かに「条件が揃えば」その通りですが、 前提条件を外すと一気に崩れるのが外貨建て保険の難しさです。


最大のリスク①「為替リスク」

外貨建て保険で最も大きいのが為替リスクです。

例:米ドル建て保険のケース

状況為替円換算の受取額
契約時1ドル=150円
受取時(円安)1ドル=160円増える
受取時(円高)1ドル=120円大きく減る

円高で受け取ると、元本割れする可能性が普通にあります。 しかも、為替は自分でコントロールできません。


見えにくいリスク②「為替手数料」

外貨建て保険には、為替手数料がかかります。

タイミング内容影響
円→外貨保険料を外貨に換える手数料で目減り
外貨→円解約・受取時再度手数料がかかる

この手数料は往復で数%になることもあり、 運用益を静かに削っていきます。


リスク③「途中解約に弱い」

外貨建て保険は、途中解約に非常に弱い商品です。

  • 契約初期は解約返戻金が少ない
  • 円高局面だと為替で不利
  • 手数料が重なって元本割れしやすい

「長期で持ち続ける」前提が崩れると、損が表面化しやすい点は要注意です。


リスク④「保険と投資が混ざって分かりにくい」

外貨建て保険は、

  • 保障(死亡保障)
  • 運用(外貨・金利)

が一体化しています。

その結果、

  • 保障はいくら必要?
  • 運用の利回りは妥当?
  • コストはどれくらい?

非常に見えにくいのが問題点です。

中級者目線では、 「保障は保険、運用は投資」と分けたほうが 透明性もコントロール性も高くなります。


外貨建て保険はどんな人に向いている?

向いている人理由
超長期で外貨を保有する覚悟がある為替変動を許容できる
保険の保障が主目的運用はおまけと割り切れる
為替・金利の仕組みを理解しているリスクを把握できる

逆に、

  • 元本割れが不安
  • 数年で使う予定がある
  • 仕組みがよく分からない

という人には不向きです。


代替案 ―「分けて考える」ほうがシンプル

中級者におすすめなのは、次の考え方です。

目的おすすめ
死亡保障掛け捨て定期保険(円建て)
資産形成NISAでインデックス投資
外貨分散外貨ETF・外貨建て投信

こうすれば、

  • コストが見える
  • 途中で柔軟に変更できる
  • リスクを自分で管理できる

というメリットがあります。


まとめ:外貨建て保険は「理解して使う」人向けの商品

  • 外貨建て保険は為替リスクが大きい
  • 手数料が見えにくく、途中解約に弱い
  • 円高局面では元本割れの可能性あり
  • 保険と投資が混ざり、判断が難しい
  • 中級者は「保障と運用を分ける」ほうがシンプル

外貨建て保険は誰にでも向く商品ではないのが事実です。

仕組みとリスクを理解したうえで、 本当に必要か?代替手段はないか? を考えることが、後悔しない選択につながります。


外貨建て保険は、私個人としてはおすすめできる商品ではありません。「保険は保険、投資は投資。」この基本は忘れずに。外貨建て保険に限らず、どのような商品も納得できる形で付き合っていきましょう。