理屈では分かっているはずなのに、
現実の相場では、なぜか同じ行動を繰り返してしまう。
上がり続ける相場を見ると、乗り遅れた不安が膨らみ、
下がり続ける相場では、これ以上の損を恐れて手放したくなる。
結果として、
高値で買い、安値で売る。
投資家なら誰もが聞いたことのある失敗です。
この記事では、
この行動が意志の弱さや知識不足ではなく、
人間の思考構造そのものに組み込まれている理由を整理し、
長期投資家としてどう向き合うべきかを考えます。
まず前提:これは「異常行動」ではない
高値で買い、安値で売る行動は、
投資家の失敗談として語られがちです。
しかし結論から言えば、
この行動は人間として極めて自然です。
むしろ、
進化の過程では合理的だった行動が、
金融市場では裏目に出ているにすぎません。
人間は「変化」に過敏に反応する
人間の脳は、
絶対値よりも変化に強く反応します。
価格が「高いか安いか」よりも、
「上がっているか、下がっているか」のほうが、
感情を揺さぶるのです。
| 状況 | 感じやすい感情 |
|---|---|
| 価格が上がり続ける | 期待・焦り・取り残される恐怖 |
| 価格が下がり続ける | 不安・後悔・恐怖 |
この感情の流れに沿って行動すると、
自然と「高値で買い、安値で売る」判断になります。
群集心理という強力な圧力
もう一つ重要なのが、他人の行動です。
多くの人が買っていると、
「何か理由があるはずだ」と感じる。
多くの人が売っていると、
「自分だけ残るのは危険だ」と感じる。
これは情報収集ではなく、
安心を得るための行動です。
集団の中にいれば、
たとえ結果が悪くても、心理的な痛みは和らぐ。
人間はそういう生き物です。
損失は利益よりも強く感じる
人は、同じ金額でも、
得る喜びより、失う苦しみを強く感じます。
これは「損失回避」と呼ばれる思考特性です。
含み損が膨らむと、
冷静な期待値よりも、
「これ以上の痛みを避けたい」という感情が前に出ます。
その結果、
安値での投げ売りが起こりやすくなります。
よくある誤解①「感情を排除すれば解決する」
感情を完全に排除することはできません。
むしろ、
感情が出る前提で設計されていない投資行動は、
長続きしません。
大切なのは、
感情をなくすことではなく、
感情が判断に影響しにくい形に整えることです。
よくある誤解②「経験を積めば起きなくなる」
経験を積んでも、
この問題は完全には消えません。
相場環境が変われば、
初めての不安や恐怖が、また顔を出します。
だからこそ、
経験よりも仕組みが重要になります。
実践への落とし込み:どう設計すればいいか
長期投資家ができる対策は、派手ではありません。
- 売買回数を減らす
- ルールを事前に決めておく
- 価格ではなく保有目的を見る
積立投資や定期リバランスは、
感情に逆らうのではなく、
感情を前提にした仕組みです。
自分を鍛えるより、
自分が間違えにくい環境を作る。
これが、長期投資の現実的な答えです。
まとめ
- 高値で買い、安値で売るのは人間として自然
- 変化・群集・損失回避が行動を歪める
- 感情は排除できない前提で考える
- 経験よりも仕組みが行動を支える
- 長期投資は「設計のゲーム」

感情が動くのは、真剣に向き合っている証拠です。
だからこそ、迷ったときに立ち戻れる形を、
あらかじめ用意しておくと安心です。
チョキンとチョキン。
