老後資金づくりの制度としてよく聞く iDeCo(個人型確定拠出年金)と 企業型DC(企業型確定拠出年金)。
どちらも「確定拠出年金」という同じ仕組みを使っていますが、 使い方・自由度・節税効果・向いている人は意外と違います。
この記事では中級者向けに、 iDeCoと企業型DCの違い・併用の考え方・よくある勘違いを 表で分かりやすく整理します。
iDeCoと企業型DCは「誰が用意するか」が違う
まずは一番大きな違いから見てみましょう。
| 項目 | iDeCo | 企業型DC |
|---|---|---|
| 用意する人 | 個人 | 会社 |
| 掛金の出どころ | 自分の給料 | 会社(+本人上乗せの場合あり) |
| 加入の自由 | 原則だれでも可 | 会社に制度がある人のみ |
| 運用の責任 | 自分 | 自分 |
どちらも運用は自己責任ですが、 「入口」が個人か会社か、という点が大きな違いです。
節税メリットはどちらも強力(仕組みは同じ)
iDeCoも企業型DCも、税制メリットは共通しています。
| タイミング | 節税内容 |
|---|---|
| 積立時 | 掛金が全額所得控除(iDeCo) or 給与扱いにならない(企業型DC) |
| 運用中 | 運用益が非課税 |
| 受取時 | 退職所得控除 or 公的年金等控除 |
この「3段階の節税」が、確定拠出年金の最大の魅力です。
掛金の上限は「企業型DCの有無」で変わる
中級者が特に注意すべきなのが、 iDeCoの掛金上限は、企業型DCの有無で変わる点です。
| 区分 | iDeCo上限(月) | 企業型DC |
|---|---|---|
| 企業型DCなしの会社員 | 23,000円 | なし |
| 企業型DCあり(マッチング拠出なし) | 20,000円 | 会社拠出あり |
| 企業型DCあり(マッチング拠出あり) | 上限調整あり | 本人も上乗せ可能 |
企業型DCに加入している場合、 「知らずにiDeCoを満額入れられない」 というケースがよくあります。
自由度はiDeCo、手数料は企業型DCが有利なことも
iDeCoの特徴
- 金融機関・商品を自分で選べる
- 低コストインデックスが豊富
- 口座管理手数料は自己負担
企業型DCの特徴
- 商品ラインナップは会社次第
- 手数料を会社が負担してくれるケースが多い
- 選択肢が少なく、コストが高い商品も混在
「選択肢の自由」ならiDeCo、 「コスト負担の軽さ」なら企業型DC という違いがあります。
iDeCoと企業型DCは“併用”できる?
結論から言うと、条件付きで併用可能です。
| ケース | 併用 | ポイント |
|---|---|---|
| 企業型DCなし | iDeCoのみ | 上限23,000円 |
| 企業型DCあり(規約OK) | 併用可能 | 合算上限に注意 |
| 企業型DCあり(規約NG) | 不可 | 会社規約を確認 |
まずは自分の会社の制度を確認することが最優先です。
中級者におすすめの考え方
- ① 企業型DCがある → まずは企業型DCを最大限活用
- ② 商品が微妙 → iDeCoで補完
- ③ 老後以外の資金も必要 → NISAと併用
老後資金は、 企業型DC/iDeCo(守り)+ NISA(柔軟) の組み合わせが王道です。
よくある勘違いと注意点
- 60歳まで引き出せない → 流動性は低い
- 元本保証=安全ではない(インフレに弱い)
- 会社が用意=安心とは限らない
- 制度を理解せず放置が一番のリスク
「何に投資しているか」を定期的に確認することが大切です。
まとめ:iDeCoと企業型DCは“老後資金の土台”
- iDeCo=個人で使う年金制度
- 企業型DC=会社が用意する年金制度
- 税制メリットはどちらも非常に大きい
- 掛金上限と会社規約に注意
- NISAと組み合わせるとバランスが良い
iDeCoと企業型DCは、 「地味だけど、将来効いてくる制度」です。
若いうちから使いこなせば、 老後の不安はかなり小さくなります。

iDeCoも企業型DCも、将来の自分を助けてくれる制度。 まずは“自分が何に入っているか”を知るところから始めましょう。
チョキンとチョキン。 
