「円より金利が高いから増えやすい」 「保険+運用で一石二鳥」 ――そんな説明を受けて、外貨建て保険を検討したことはありませんか?
外貨建て保険は、一見すると魅力的ですが、 仕組みを理解せずに契約すると“想定外の損”が出やすい商品でもあります。
この記事では中級者向けに、 外貨建て保険の仕組み/見えにくいコスト/代表的なリスク/向き不向きを 表を使って分かりやすく解説します。
外貨建て保険とは「外貨で運用する保険」
外貨建て保険は、保険料の支払い・運用・受け取りを 米ドルや豪ドルなどの外貨で行う保険です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通貨 | 米ドル・豪ドルなど |
| 目的 | 保障+運用(貯蓄性) |
| 利回り | 円建てより高く見えやすい |
| 代表例 | 外貨建て終身保険/養老保険 |
ポイントは、「保険」でありながら為替の影響を強く受けることです。
よくある“メリット説明”を冷静に見直す
販売時によく聞くメリットは、次の3つです。
- ① 円より金利が高いから増えやすい
- ② 保険なので安心
- ③ 将来の受取額が大きい
確かに「条件が揃えば」その通りですが、 前提条件を外すと一気に崩れるのが外貨建て保険の難しさです。
最大のリスク①「為替リスク」
外貨建て保険で最も大きいのが為替リスクです。
例:米ドル建て保険のケース
| 状況 | 為替 | 円換算の受取額 |
|---|---|---|
| 契約時 | 1ドル=150円 | ー |
| 受取時(円安) | 1ドル=160円 | 増える |
| 受取時(円高) | 1ドル=120円 | 大きく減る |
円高で受け取ると、元本割れする可能性が普通にあります。 しかも、為替は自分でコントロールできません。
見えにくいリスク②「為替手数料」
外貨建て保険には、為替手数料がかかります。
| タイミング | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 円→外貨 | 保険料を外貨に換える | 手数料で目減り |
| 外貨→円 | 解約・受取時 | 再度手数料がかかる |
この手数料は往復で数%になることもあり、 運用益を静かに削っていきます。
リスク③「途中解約に弱い」
外貨建て保険は、途中解約に非常に弱い商品です。
- 契約初期は解約返戻金が少ない
- 円高局面だと為替で不利
- 手数料が重なって元本割れしやすい
「長期で持ち続ける」前提が崩れると、損が表面化しやすい点は要注意です。
リスク④「保険と投資が混ざって分かりにくい」
外貨建て保険は、
- 保障(死亡保障)
- 運用(外貨・金利)
が一体化しています。
その結果、
- 保障はいくら必要?
- 運用の利回りは妥当?
- コストはどれくらい?
が非常に見えにくいのが問題点です。
中級者目線では、 「保障は保険、運用は投資」と分けたほうが 透明性もコントロール性も高くなります。
外貨建て保険はどんな人に向いている?
| 向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 超長期で外貨を保有する覚悟がある | 為替変動を許容できる |
| 保険の保障が主目的 | 運用はおまけと割り切れる |
| 為替・金利の仕組みを理解している | リスクを把握できる |
逆に、
- 元本割れが不安
- 数年で使う予定がある
- 仕組みがよく分からない
という人には不向きです。
代替案 ―「分けて考える」ほうがシンプル
中級者におすすめなのは、次の考え方です。
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 死亡保障 | 掛け捨て定期保険(円建て) |
| 資産形成 | NISAでインデックス投資 |
| 外貨分散 | 外貨ETF・外貨建て投信 |
こうすれば、
- コストが見える
- 途中で柔軟に変更できる
- リスクを自分で管理できる
というメリットがあります。
まとめ:外貨建て保険は「理解して使う」人向けの商品
- 外貨建て保険は為替リスクが大きい
- 手数料が見えにくく、途中解約に弱い
- 円高局面では元本割れの可能性あり
- 保険と投資が混ざり、判断が難しい
- 中級者は「保障と運用を分ける」ほうがシンプル
外貨建て保険は誰にでも向く商品ではないのが事実です。
仕組みとリスクを理解したうえで、 本当に必要か?代替手段はないか? を考えることが、後悔しない選択につながります。

外貨建て保険は、私個人としてはおすすめできる商品ではありません。「保険は保険、投資は投資。」この基本は忘れずに。外貨建て保険に限らず、どのような商品も納得できる形で付き合っていきましょう。
チョキンとチョキン。 
