お金の知識中級編22 「本当に2,000万円必要なの?」という素朴な疑問から始めよう

「老後2000万円問題」という言葉が広まり、 多くの人が老後=お金が足りないという不安を抱くようになりました。

しかし実際には、 全員に2,000万円必要なわけではありません。

必要額は、あなたの生活費・収入・年金額・住宅ローンの状況によって大きく変わります。 つまり、老後資金は「一律の金額で語るものではない」のです。

この記事では、老後の必要額の計算方法、 2,000万円問題の正体、安心するための準備方法を 表を使って分かりやすく解説します。


老後にかかるお金は“生活費−年金額”で決まる

老後の不足額をシンプルに表すと、次の式になります。

老後の不足額 =(毎月の生活費 − 毎月の年金額)× 年数

まずは、この「差額」がどれくらいかを知ることが最重要ポイントです。

例:夫婦2人暮らしの平均ケース

項目金額(例)
毎月の生活費25万円
年金受取額(夫婦合計)20万円
不足額5万円

この場合、 5万円 × 20年間=1,200万円の不足になります。

これが*人によって必要額が変わる理由*です。


2,000万円問題の「本当の意味」

そもそも2,000万円問題は、金融庁の報告書で “平均的な夫婦の場合、老後に1300〜2000万円不足する” と書かれたことがきっかけです。

しかし、ここには注意点があります。

  • 生活費が高い家庭 → 2,000万円以上必要
  • 生活費が低い家庭 → 1,000万円以下でも足りる
  • 年金が多い家庭 → 不足額はもちろん少ない

つまり、2,000万円問題は「平均値」であって、あなた自身の必要額とは違うのです。


老後資金の「必要額」を計算してみる

老後資金は、次の3ステップでシンプルに計算できます。

老後の生活費を決める

  • 質素に暮らす → 月18〜22万円
  • 一般的な生活 → 月22〜28万円
  • ゆとりある生活 → 月28〜35万円

もらえる年金額を把握する

ねんきんネットや年金定期便で確認できます。

不足額を計算する

生活費年金額差額不足額(20年間)
25万円20万円5万円1,200万円
25万円23万円2万円480万円
20万円20万円0円0円

これを見ると分かる通り、 必要額は生活費と年金額で大きく変わるのです。


老後資金は「3本柱」で考えると分かりやすい

老後資金の準備は、次の3つを組み合わせるのが最強です。

内容メリット
① 公的年金老後のベース収入物価スライドで長生きリスクに強い
② 個人の資産(NISA・預金)不足額のカバー計画的な取り崩しができる
③ 私的年金(iDeCo)長期の積立節税メリットが大きい

特に中級者は、 NISAで資産を増やし、iDeCoで節税しながら積み立てる という組み合わせが非常に効率的です。


老後資金でよくある“勘違い”

  • 2,000万円を貯めなければならない!と焦る
  • 生活費を高く見積もりすぎて不安が増す
  • 逆に楽観しすぎて貯金が遅れる
  • 年金を「もらえない」と決めつけて計画を立てない

大切なのは、正しく必要額を知ることです。 不安の多くは「知らない」ことから生まれます。


まとめ:老後資金は“必要額を知ること”から始まる

今回のポイントをまとめると…

  • 老後の不足額は「生活費 − 年金額」で決まる
  • 2,000万円問題は平均値であり、個人差が大きい
  • 老後資金は「年金+個人資産+iDeCo」の3本柱で準備
  • 重要なのは“正しい計算”と“早めの準備”

老後は不安に感じる人が多いですが、 必要額を正しく把握すると、 思ったより少ない準備で安心できるケースが多いのが実態です。


老後って聞くと不安になりますよね。でも“本当に必要な額”を知るだけで、ぐっと安心できます。一緒に無理なく準備していきましょう!